人間は肉食動物?草食動物?【前編】
今週のお題「肉」
こんにちは。うんちく星人です。
新型コロナウイルスで自粛、自粛と毎日つらいですよね。
私は一人暮らしの社会人なので毎日安い鶏肉で自炊しています。
たまにはおいしいステーキとか角煮とか食べたいものです。
ところで、なんで人はお肉が食べたくなるのでしょう?
焼肉パーティーと言われたら喜ぶ人は多いですがサラダパーティーと言われて「ワーイ(^O^)」ってなる人は少ないですよね。
やはり人間は肉食動物なんでしょうか?
今回は人間は肉食動物なのか草食動物なのかについて掘り下げていこうと思います!
人間は元々肉食動物
結論から言うと人間は肉食動物です。
ただし、ライオンのように完全な肉食動物ではありません。
肉のほかに木の実などを食べる熊と同じ雑食性のある肉食動物です。厳密に言えば植物を食べれるように進化した肉食動物。
こんなこと言ったらヴィーガンの方に怒られてしまいそうですが人間が肉食動物だと言える理由がちゃんとあります。
肉食動物と草食動物の比較
ここで比較するのはあくまで一般論です。
中にはどっちつかずなイレギュラーな動物もいるので悪しからず。
①歯の形状
肉食動物は肉をかみ切るために犬歯が鋭利になっています。
それに比べ、草食動物は食物繊維をすり潰すために臼歯が発達しています。食物繊維はすり潰すことで吸収率が上がります。
草食動物には鋭利な歯はありません。乳鉢を想像してください。乳鉢ですり潰すとき乳棒にもし鋭利な突起があったらすりづらいですよね。
ライオンはthe肉食動物のため、犬歯以外も鋭利になっていますが、クマやヒトは犬歯も鋭利でありながら臼歯は割と平らです。
このように、何を食べるかで歯の形状は変わってきます。
②目の位置
肉食動物は顔の前面に目がついています。
このメリットは、両眼視野の範囲が広く視界が立体的になるため獲物を追いかけやすいことです。デメリットは、全体視野が狭くなることで後方の敵に気づけなくなることです。
ヒトは比較的前方に目がついています。
草食動物は顔の側面に目がついています。
さっきと逆で、このメリットは、全体視野が広くなることでどこから捕食者が来ても逃げられることです。デメリットは、立体視できる視野角が狭くなることです。しかし捕食対象は動かない植物なのでこのデメリットは何も問題ありません。
草食動物はスマホやデジタルカメラにあるパノラマ撮影モードのような景色が常に見えていることです。
ちなみにウサギの視野角は360度だそうです。
実家のうさぎちゃんの察知能力が高いのはそういうことなのか!
③消化管の長さ
肉食動物は消化管が短いのに対し、草食動物は消化管が長いです。
体調に対し腸の長さが何倍かを示したとき、ウシやヒツジは20~30倍であるのに対し、ヒトやネコ、オオカミは3~5倍程度です。
なぜ、消化管の長さが違うのでしょうか。
まずは草食動物が長い理由についてお話します。
植物は、ほとんど水分でできており栄養素の含有量が少ないです。また、植物に大量に含まれる食物繊維(主にセルロース)は動物の持っている消化酵素で分解できません。
そのため、草食動物は消化管内にセルロースを分解してくれる細菌や原虫を宿し、ゆっくりと時間をかけて栄養素を吸収していきます。
つまり、消化吸収効率が良いのです。
セルロースを分解する微生物は主に盲腸に多く分布しています。そのため、草食動物の盲腸は比較的大きいです。
ちなみに、笹や竹を食べるパンダは草食動物ですが、先祖がクマのため消化管は肉食動物のように短いです。
人間は植物を食べないように進化したため盲腸は小さくなり、その機能を失っています。
トウモロコシを食べても糞から原形のまま出てきますよね。。我々はトウモロコシのセルロースをほとんど分解できていないのです。
<余談>
ウシやヒツジは反芻動物と呼ばれ、一度飲み込んだ食物を再び口の中に戻して再咀嚼することです。
反芻動物は4つの胃を持っていることで有名ですが、そのうち生物学的な意味での胃は第四胃のみです。
しかし、セルロースの分解に大きく貢献しているのは第一胃(ルーメン)でルーメンは消化管全体の約半分の大きさを占めています。
反芻動物は非反芻動物の草食動物より食物繊維の分解効率が良いとされています。
※食物繊維の分解率→ウシ:50~80%、ウマ:30~50%
続いて、肉食動物の消化管について説明します。
短い理由は、ずばりうんちを早く出したいからです!
肉食動物の主食である肉はタンパク質が豊富です。消化酵素や細菌によってタンパク質が分解されるとアミノ酸やペプチド*1となります。大部分は小腸で吸収されますが一部のアミノ酸は消化の過程でプトレシンやがカダぺリンといった有害な物質に変化します。
また、肉は植物よりもgあたりの栄養素の含有量も多いので腸内細菌が増殖しやすいです。
腸内細菌は善玉菌悪玉菌問わず、増殖しすぎると厄介なので動物はある程度糞から排出する必要があります。
つまり、草よりも肉の方が消化によって有害な物質や腸内細菌が増えやすいので早く体内から糞を出す必要があるのです。
ちなみに、植物にもアルカロイドという有害物質が含まれていますが、草食動物は大抵これらの解毒機構を持っているので心配ありません。
④糞のニオイ
③の内容と少し被りますが糞の臭いにも違いがあります。
糞の主なニオイ成分は、スカトールやインドール、アンモニア、硫化水素です。
インドールとスカトール、アンモニアには窒素(N)、硫化水素には硫黄(S)が含まれています。お肉の主成分であるタンパク質にはこれらの元素が含まれていますが、植物の主成分である炭水化物にはこれらの元素が含まれていません。
よって、草食動物の糞はニオイ成分が少なく、肉食動物に比べあまり臭くありません。
人間も焼き肉やBBQを食べた後は臭いですが、野菜しか食べていないときはあまり臭く
ありませんよね。
⑤尿のpH
尿のpH*2も概ね違いがあります。
一般的に肉食動物の尿は酸性(pH5.0~7.5くらい)で草食動物の尿はアルカリ性(pH7.5~9.0くらい)です。
植物はpHを上げるミネラル(ナトリウムやカリウム、カルシウム、マグネシウム)に富んでいるのに対し、お肉にはpHを下げるミネラル(リンや硫黄)が多く含まれています。
そのため、pHに違いが生じます。
健常な人の尿は弱酸性ですが食生活によって若干の偏りは生まれます。
次回の予告
前半はここまでです。
上述の比較を見てもらうとわかる通り、人間は肉食動物の特徴が数多く見られます。
このことから、もともと肉食動物であったということがわかるでしょう。
後半は、「肉だけ食べる危険性」と「ライオンはなぜ植物を食べなくて大丈夫か?」についてご紹介します。
それでは後編もお楽しみに!