うんちく星人の雑学部屋

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タイムトラベルは可能か【未来編】

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こんにちは。うんちく星人です。

 

「あの時こうしてたら今頃はこうだった」とか「未来の自分はどうなってるのか」とか、タイムスリップできるといろいろな夢が膨らみますよね。

私も過去にいっぱい後悔があるのでタイムスリップできたら良いのにと思うことがあります。

 

現在の理論でタイムトラベルは可能なのか?

 

結論から言うと、未来へ行くことは可能過去へ行くことは不可能です。

 

なぜ未来へは行けるのに過去へは行けないのかについて紹介していきたいと思います!

前半は未来へのタイムトラベルについて語ります。

未来へ行くことは可能?

前書きで書いた通り未来へ行くことは理論上可能です。

ただし、今の技術では技術的にもコスト的にも遠い未来へ行くことはできません

今回は物理のお話が入ってくるので文系の方にはちょっと難しい話になると思いますのでご了承ください。

相対性理論

タイムトラベルが可能かどうかを語る上で欠かせないのが、アインシュタインが提唱した相対性理論という物理学の理論です。

相対性理論には特殊相対性理論(1905年発表)と一般相対性理論(1916年発表)があります。特殊相対性理論は、物体の移動における時間と空間の関係について説明した理論で、一般相対性理論特殊相対性理論に重力などの加速度の条件を加えた理論となっています。

特殊相対性理論について簡単に説明すると、移動する物体静止しているか等速で動く観測者がいるとき、物体の移動速度が光速に近づくほど物体の時間の流れは遅くなり、物体の長さは縮むということです。

この観測者が静止しているか等速かという特殊な条件であるため特殊相対性理論と呼ばれており、一般相対性理論では観測者が動いている場合も説明されています。

相対性理論の詳しい説明はかなり難しいので別の機会に説明させていただきます。

 

要するに未来へ行くには、「物体は速く動けば動くほど時間の進行が遅くなる」という原理を利用するのです。

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アルベルト・アインシュタイン(Albert Einstein)

 

未来に行く方法

特殊相対性理論で提唱された時間の遅れは計算式で求められます。

観測者の時間経過をΔt、移動する物体の時間経過をΔt'、移動する物体の速さをv、光速をcとすると、

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移動速度と時間のずれの関係


このような式ができます。

光はこの世界で最も速く移動します。その速さなんと秒速約30万km(秒速29万9792km)で、これは1秒間に地球を7周半できてしまう速さです。*1

 

この計算式をもとに時間のずれを計算してみましょう。

光速の50%の速さ(秒速15万km)で巡航する宇宙船があったとします。

すると、Δt'≒0.87Δtとなります。

観測者の時間経過が1年であったとすると、宇宙船は0.87年しか経っていないことになります。0.87年は約10ヶ月ちょっとなので観測者より2ヶ月近く若くいることができます。

 

この時間経過の単位を100年にしてみると観測者と宇宙船の間には13年の時間のずれが起こります。

もしこの宇宙船が50光年*2離れている星に行って地球に帰ってくるのだとしたら往復100光年です。

観測者は100年経って宇宙船が帰ってきたと思いますが、実際は宇宙船内は87年しか経っていません。

そのため、地球に帰還すると13年地球の方が時間が進んでいることになります。

 

つまり、宇宙船の船員は秒速15万kmで移動することによって13年先の地球へタイムトラベルすることができたということです

 

ただし、これでは自分も87年歳をとることになります。

完全に未来へ行くには、光速と同じ速さで移動しなければなりません。

もし光速と同じ速さで移動できたら移動物体の時間経過は0です。どんなに長い時間移動していたとしても老けることはありません。

 

しかし実際は物体は光速に達することは不可能です

その理由を解説します。

 

物体が光速を超えることは不可能!

特殊相対性理論によると、物体は移動速度が光速に近づくほど質量が大きくなるそうです。

移動する物体の質量をm、その物体が静止しているときの質量をm₀、物体の移動速度をv、光速をcとすると、

 

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移動速度と質量の関係

このような式ができます。先ほどの式と似ていますね。

もし仮に、物体の速度が光速と同じ速さなら、分母は0になります。

分母が0は数学的にあり得ないのです。

仮に分母0でmの大きさを表すと、移動する物体の質量は∞になってしまいます。

宇宙ですら質量が∞よりも小さいので質量が∞になることはあり得ません。

したがって、どんなに小さい物質、原子、素粒子でも質量をもっているものなら光速に達することはできません。

光を媒介する素粒子である光子(フォトン)は質量が0なので、この式に当てはめると0/0=0となり、移動中∞になることはありません。

 

ちなみに、光速と同じ速度で移動するものは他にもあります。

一般相対性理論で重力による空間のゆがみを説明するのにつかわれる重力波*3や、赤外線や紫外線、X線など同じく光子によって媒介される電磁波(光は可視光線と言われる電磁波の1種)も光速と同じ速さです。

 

<余談>

スイスとフランスの国境をまたいで建設された大型ハドロン衝突型加速器LHC)という陽子衝突型加速器では、陽子を光速の99.9999991%まで加速させることに成功しています。加速には膨大なエネルギーを必要とするため、現在の技術ではこれ以上加速させることはできません。

 

次回の予告

次回は、「なぜ過去へのタイムトラベルが不可能なのか」と「仮に過去へタイムトラベルできた場合に生じるパラドックス」、「そのパラドックスの解決法」についてご紹介していきます。

【過去編】は文系の人の方が興味がある内容だと思います!

それでは次回もお楽しみに!!

 

*1:光速:空気中や水中ではもう少し遅くなります

*2:1光年:光が1年かけて移動する距離(約9兆5000億km)

*3:重力波重力波を媒介する素粒子重力子(グラビトン)と予想されているが未発見