タイムトラベルは可能か【過去編】
こんにちは。うんちく星人です。
前回に引き続きタイムトラベルについてご紹介していきます。
今回は過去編です。
それではどうぞ!
過去へ行くことは可能?
前回もお話しした通り過去に行くことは不可能です。
前回は、物体が移動速度が光速に近づくにつれその物体の時間の流れは遅くなり、光速になると時間の流れが止まるため、未来へタイムトラベルできると言いました。
この流れで行くと「物体の移動速度が光速を超えると過去に行けるのでは?」と思うかもしれませんが、そこには大きな穴があります。
時間のずれを表す式は以下の通りです。
観測者の時間経過をΔt、移動する物体の時間経過をΔt'、移動する物体の速さをv、光速をcとして、移動速度が光速を超える(v>c)の場合、√内がマイナスの値をとることになります。
数学の特性上、実数において√内の値がマイナスになるようなことはありません。
つまり、式の右辺が虚数になってしまうのです。
Δtに虚数をかけてしまうのでΔt'は虚数になってしまい、時間を表すことができなくなってしまいます。
※現代の宇宙物理学では、虚数時間は宇宙誕生時に流れていたとされていますが、これは相対性理論とは異なる「量子論」を加味した上で提唱された時間なので、あくまで相対性理論の中では存在しないものです。
よって、v>cはあり得なく、過去へのタイムトラベルは不可能だと言えます。
堅苦しい理系の話はここまでです。
過去に行けた場合生じるパラドックス
現代の技術・理論を無視してもし過去に行けた場合、あるパラドックス*1が生じます。
過去へのタイムトラベルで有名なパラドックスは「親殺しのパラドックス」です。
こちらはウィキペディアで調べたら出てきますので気になる方は調べてみてください。
ウィキペディアのパラドックスを紹介しても面白くないので、私が考えた「英雄のパラドックス」と「パイオニアのパラドックス」を紹介します。
英雄のパラドックス
<お話>
ある街にユウタという15歳の少年がいました。ユウタには同い年の彼女リカがいて、将来結婚も考えていました。
そんな時、街に一人の凶悪な連続殺鬼リッパーが現れて街の人々を何人も殺害し、運悪くリカも殺されてしまいました。
ユウタはこの時の悔しさと悲しさから、タイムマシーンを作って必ずこの殺人事件をなくすことを決意しました。
それから15年たったある日、ユウタは過去に行けるタイムマシーンを開発しました。
ユウタは、過去に行ってリッパーが生まれるのを阻止したり殺したりして復讐すのではなく、リッパーの経歴を徹底的に調べ上げて幼きリッパーが悪逆非道な人間にならないように教育をしてあげました。
そのおかげでリッパーは殺人鬼となることなく、立派な大人になり、ユウタはリカも街の人も救うことができました。
ユウタは誰にも知られることなく誰も傷つけずに”名もなき英雄”となったのです。
<解説>
もしタイムマシンでリカを助けられたのなら、リカは死んでいないことになるのでずっと付き合っていたことになります。
しかしその場合、リカ不在で過ごしていたユウタの15年はどうなるのでしょうか。リカはどこへ行っていたのでしょうか。
また、ユウタは15歳の時にすでに、15年後から来た自分が街の人を救ったという事実を知っているはずです。「15年後には自分がタイムマシンを作って街の人々を助けるはずだ」と。
極めつけは、リカも街の人もリッパーによって殺されないので、ユウタはタイムマシンを作ろうという強い決意も生まれません。
そうなると、未来ユウタによるリッパーの教育というイベントが起きないため、リッパーは凶悪殺人鬼となり、、、
と、延々とこの出来事を繰り返すことになります。
これは明らかにおかしなことです。
パイオニアのパラドックス
<お話>
2100年、最先端の技術を用いてタイムマシーンの開発をしているGappleとAoogleという会社があり、この両社は同時期にタイムマシーンの開発に成功し、タイムマシーン事業の売り上げも同程度になりました。
そこでGappleの開発部門の一人である42歳のセンクウは、Aoogleより一足先に開発に成功させるために、開発したときに使われたデータや技術をもって20年前ににタイムスリップし、新入社員であった20年前の自分にすべてを教えました。
その結果、Gappleは2085年にタイムマシーンの開発に成功し、タイムマシーン事業の独占に成功しました。
センクウの功績は称えられ、”叡智のパイオニア”と呼ばれGappleの社長となるのでした。
<解説>
開発が早まったことで、事業を独占できるのですが、今度はセンクウのような考えを持ったGappleの開発部門の社員が同じようなことをして、さらに過去にさかのぼって過去の自分に技術を教えた場合はどうなるでしょうか。
今度はセンクウではなくその社員がタイムマシーンを開発することになり、パイオニアとして称えられます。
このような繰り返しが行われると、タイムマシーンのパイオニアが違う年代にたくさん存在してしまうことになります。
また、過去の自分にではなく、紀元前くらいまで戻って未来にある技術を過去の人に教える場合でも、結果的に産業革命の時期が早まって、2021年現在の人口や地球環境が大きく変わってしまい、そもそも自分が存在しない可能性も出てきます。
英雄のパラドックス同様これもおかしな矛盾を生んでしまいます。
パラドックスを解決するための考え
上述のようなパラドックスは、同一の世界で考えるために生じてしまいます。
ここで登場するのが並行世界(パラレルワールド、平行世界)の概念です。
並行世界の詳しい説明は別の機会にさせていただきます。
ここでは、並行世界があるという前提の下で話を進めていきます。
並行世界が存在すれば、仮にタイムトラベルした場合、トラベラーは自分が元いた世界ではなく、並行世界の過去に行きつきます。
その世界では、元いた世界の記憶をもとに自分が変えたい未来に変えることができます。
並行世界がたくさんあれば、自分の元の世界でどんなに過去へ行く人が出ても元の世界の歴史を変えることはありません。
また、並行世界で自分が2人いることに矛盾はありませんし、元の世界で自分が消えたことも別の世界へ行ったという解釈ができるので不思議ではありません。
まとめ
いかがでしたか?
今回は過去にタイムスリップできるのかについて紹介しました。
未来、過去通して難しい話となってしまいましたが、ロマンのある話ですよね。
実は並行世界がたくさん存在するというのはおとぎ話ではなく、物理学の世界では割と通説です。
今後の科学の発展によっては、相対性理論が100%正しいとは言い切れないので、本当に将来過去にタイムトラベルできる時代が訪れるかもしれません。
その場合、タイムトラベルする人は皆違う並行世界に行って自分の思い通りの世界を作っていることでしょう。
今回も駄文でしたが最後まで読んでいただきありがとうございました!
次回もお楽しみに。